電子出版を利用した漫画喫茶は可能か?


ebookjapanを利用してふと思ったことが、パソコンを置いてあるのが当たり前になっている漫画喫茶で、これを使ったら本棚がいらなくなるので出店するコストが安くなるのではないかってこと。
現時点で漫画は13614冊あり、この冊数なら漫画に力を入れていないネットカフェ程度の在庫を持つことが可能です。(できれば2万冊以上の在庫があるといいですが)


問題になってくるのは導入したときの金額ですが、ebookjapanを利用する場合パソコン1台ごとに購入する必要があるので、13614冊×420円×パソコンの台数となります。
仮にパソコンの台数を50台とした場合、285,894,000円となります。
……こ、これは……非現実的な金額ですね。
漫画喫茶をやるために専門の業者にコミックの発注をして大体1000万円前後ですから、この方法は無理ですね。


一度に全部購入してしまうと金額が大きくなってしまうので、読んだら料金を支払う方法にすればいいのですが、料金はお客ではなく店側が持つ必要があります。
漫画喫茶用の専用閲覧ソフトも欲しくなるので、電子書籍を扱っている会社と特別な契約を交わす必要がありそうです。
あと、課金の形態も考えなくてはなりません。


課金形式は、お客が読んだ冊数か、読んでいる時間かのどちらかに課金する方法が考えられます。
読んだ本そのものに課金する場合、最初の数ページしか読んでいない場合でも、全部読んだ場合でも同じ金額を支払うことになります。
となると、仮に短時間でたくさんの本をちょっとずつ読まれると店側は課金額が大きくなるので非常に困ってしまいます。


現実的なのは読んでいる時間に課金する方法になりそうです。
どの本を読んでいるのかはわかるので、印税は読んでいる時間の割合で分配すればいいでしょう。
課金額は最大で15分20円〜30円が漫画喫茶側の希望する額になると思います。
もちろん安ければ安いに越したことはありません。
オンラインゲームの場合だと、公認カフェになり店側が料金を負担する場合に、従量課金というシステムがあります。
最近だと、1時間40円のオンラインゲームがほとんどです。


漫画を1冊読むのにどれくらい時間がかかるかは、個人差があっても20分〜30分くらいだと思います。
一度読んだことのある漫画であれば、もっと短時間で読めると思います。
1冊20分、課金額が420円とした場合、その課金額を漫画喫茶は席料から捻出することがほぼ不可能になります。
複合カフェ白書2008を参考にすると、現在の複合カフェの多くは、基本料金30分280円、延長料金15分100円で営業されています。
お客から徴収できる金額以上の課金額は支払うことはできず、他の経費もかかることを考えれば、1冊20分での課金額は100円以下でなくてはなりません。
オンラインゲームの課金額は、漫画喫茶の延長時間15分に対して10円となります。
この金額であれば導入に問題ないわけです。
購入時に必要な420円の10%を課金額とした場合は、1冊20分42円、15分に対しては約31円となります。
私はこの辺が課金額の妥協点になるのではないかと考えます。


このパソコンによる電子書籍の閲覧が可能な漫画喫茶を開業できる場合、従来の漫画喫茶に比べどの程度資金を節約できるのでしょうか?
まず、1000万円のコミック購入費が浮きます。
本棚を作らなくていいので、その費用と店舗スペースが狭くても問題なくなるので建物にかかる費用も安く済むでしょう。
但し、全席にパソコンを導入する必要があります。
しかし、現在の複合カフェはパソコンがあることが当たり前なので、普通の漫画喫茶を開業する場合でも、パソコン購入費は同じくらい必要でしょう。
ポジティブに考えれば安い資金で開業できる可能性があると言えます。


この方式が導入された場合、著作権者は漫画喫茶から印税を徴収することが可能になります。
ただ、既存の複合カフェが電子書籍に移行する可能性はかなり低いので、実現しても普及するかどうかはわかりません。