漫画喫茶が流行した理由

 電車の中や駅で拾い集めたまんが雑誌を路上で売る、という商売は1986年くらいには大都市圏には存在した。(中略)読んだら捨てる、という人が多かったのだ。読んだら捨てる人がいるから商品の供給先には困らない。さらに、路上で売られているまんが雑誌を買う人たちも、必要なのはまんがの中身なのだから、誰かが捨てたまんが雑誌でもかまわない。どうせ、自分だって読み終われば捨てるのだ。

(中略)

 まんがを楽しんだ後、いらなくなった「本」は売ってしまう。差額が読者にとってはコンテンツ代ということになる。買う側も、本はどうせいらなくなるのだから「BOOK OFF」で買ってもいいのだ。読み終わったらまた売ればいい。つまり、必要なのはコンテンツだけという読者のニーズを「BOOK OFF」は掴んだわけである。
 まんが喫茶にも同じことが言えるだろう。必要なのはまんがそのものであって、「本」というモノはいらないのだ、という潜在ニーズは非常に大きいのである。


「まんが王国の興亡 なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか 中野晴行 ebookjapan」P379-382より抜粋


これを読んで漫画喫茶がなぜ流行ったのか納得できました。
漫画を読むことができればそれでよく、所有している必要はない。
そう考える人が多いから、お金を払ってまで漫画を読みに来る人がいる。
流行した理由は他にもあるでしょうが、そもそもお金を払って漫画を読みに来る動機が理解できなかったのです。
私は本を所有することに価値を見出しているので、読み捨てる人を認めたくなかったんでしょうね。


あと、気になった箇所があって、漫画を読まない人にアンケートをした結果、理由に「内容が難しい」と答える人がいたという点。
もしこの先、漫画を読まない子供の割合が増えてきたら、しかも難しくて読めないという割合が増えたら、漫画喫茶のお客が減るってことですよね。
10年、20年したら漫画喫茶のお客は30代後半以上のおじさんが来る店になりそうな予感がします。
まあ、うちの店はすでにそういった客層が昔から多いですけどね。


そう考えると、この先10年、20年と漫画喫茶を続けていくためには、漫画以外の要素(インターネットやオンラインゲームなど)が重要ですね。
すでに複合カフェとしてそういった形態の店が普及していますが、これは競争の結果であって漫画を読む若者が減るかもしれないという事とは関係ないはずです。