なぜ漫画喫茶がここまで増えたのか? その1


漫画喫茶が名古屋独自の文化として存在しているだけならば、疑問を持ちませんでした。
茶店の亜種としての漫画喫茶と語ればそれでおしまいです。
ちょっと乱暴ですが……。


雑誌を読みたいのであればコンビニや書店で立ち読みすることが可能です。
新聞を読みたければ図書館があるし、喫茶店でも読めます。
スポーツ新聞が読みたければ200円前後支払って買った方が安いはずです。
コミックが読みたければ、ブックオフなどで立ち読みが可能です。
インターネットだってコストを考えれば、パソコンを買い回線を引いて自宅でやった方が安い気がします。


ちょっと読みたい、ちょっとネットを使いたい人だけを対象にして、これほど全国的に広まる商売になるとは考えられません。


正直、漫画喫茶を利用するお客の心理が全く理解出来ません。
そうは思っても、自分もかつて漫画喫茶を頻繁に利用していました。
およそ1年程度だけです。
それもコンサルタントの会社で働いていた頃、立ち上げを手伝った店を週に1、2回利用していたくらいです。
漫画喫茶だからではなく、自炊が面倒になった時に食事をするためでした。
もちろん、食事だけではなく漫画も読んでいました。


今では漫画喫茶を勤務時間外に利用する事はほとんどありません。
市場調査であったり、新しくオープンした店に行くばかりです。


漫画喫茶で雑誌やコミックを読むためにお金を払いたくない


と思っているからです。
前述のようにお金を払わずに立ち読みすればいいのです。
書店で立ち読みできない雑誌は買っていますし、ブックオフなどで売っていないコミックでどうしてもすぐに読みたい場合は書店で買っています。
書店で買ってしまうなら、漫画喫茶で読んでも一緒だと思います。
でも、なぜか漫画喫茶を利用する気にならないのです。


その答えが「インターネット・まんが喫茶を発明したのは私です。」という本の中にありました。

 「ものを買いたい」。それがつい最近までの消費者志向の主流でした。
 古くは家電の「三種の神器」を手に入れようと誰もが奮闘した時代から、土地、家、高級車を持つことがステイタスだと位置づけられたバブル経済華やかなりし頃、それはものを「買い」、「所有」することが大きな目標でした。
(中略)
しかし、消費者の志向は徐々に変化を見せるようにもなりました。「借りる」という考え方の台頭です。
(中略)
そこで登場するのが、自分の欲しいものが用意された空間を「使う」という考え方です。
(中略)
自宅から日課のようにお店に通って来られる方もいらっしゃいます。
そこには「ひとりきりになれる空間が欲しい」「家族のいる家ではどうにも落ち着けない」「お互い干渉するわけではないが、なぜか人がたくさんいるところにいたい」といった現代人独特の複雑な心理が見え隠れしています。


「所有」するから「借りる」という方向に考え方が移ったということみたいです。
で、漫画喫茶を利用するお客はコミックを読みに来るだけではなく、全てが用意された空間を「使う」ために来ているのです。
そういう考え方でみれば確かに漫画喫茶の主流は、喫茶店型から個室のネットカフェ型に移っています。
一人になれる個室という空間を利用しに来ているのです。


私が一番リラックスできる場所は自宅なので、漫画喫茶を利用する気にならないのでしょうね。