漫画喫茶発祥の地の謎 〜日本初の漫画喫茶はどこに?〜


「初めて漫画喫茶を始めた店はどこか?」

という疑問は漫画喫茶に関連する仕事を始めた頃から思っていました。
当時、上司や知り合いに聞いみたもの「この店だ」とはっきりした情報は手に入りませんでした。
最初は、愛知県らしいと聞いていましたが、「そういった新しい商売は東京が始まりじゃないのか?」と言われたりしました。


フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』では

発祥の地は名古屋とされ、昭和50年代に最初のブームが起こった。中京圏は喫茶店の数が多く競争が激しいため、ある店がサービスの一環として始めたのが広まったものではないか、と言われている。


とあります。
インターネットが普及したおかげで情報が簡単に集まるのはいいことですが、いまいち確実性に欠ける気がします。


教えて!goo 「漫画喫茶発祥の地は名古屋??」には、

名東区にあったザ・マガジンというとこが第一号を自称してましたね(現在は廃業)、


と店名がはっきりと書かれていました。
でも、自称しているという情報なので確実というわけではないようです。
この名前の店は私が聞いた話の中でも出てきていました。


他には、マイタウン高知で、

 「日本で最初のマンガ喫茶はうち」と自負する竹内督彦さん(58)。サラリーマン向けのマンガ喫茶店「ちゅーりっぷ」を営む。26年ほど前、普通の喫茶店としてスタート。昼過ぎから夕方までお客が減るため、マンガを大量に買いそろえたところ好評で定着した。


とあります。
この記事は2005年5月30日となっているので、26年ほど前というのは1979年前後となります。
しかし、高知県ですか……。
高知が発祥というのはあり得ないと思いたいのですが。
昭和50年代のブームに時期が重なっているのがちょっと気になる点です。


他に、名古屋の喫茶店とマンガの関係では、

本当かどうかはわかりませんが、当時名東区にあったその喫茶店は「日本初のマンガ喫茶」を自称していました。今から25年前でしたから本当にそうだったのかも知れません。ある報告にも、「マンガ喫茶の登場は1977〜78(S52〜53)年に自然発生的に生まれた。」とありますので時期的に一致します。さらにその報告によりますと、マンガ喫茶と言うのは、マンガ好きな店主が趣味で持っている本を喫茶店の名物にしようと店内に置いたのがはじまりだそうです。


この記事は2004年2月14日となっています。
25年前は1979年ですね。
この名東区にあった喫茶店というのはザ・マガジンのことでしょう。


『業態研究 ”まんが喫茶”の隆盛』

喫茶文化が最も華やかで、庶民の生活に喫茶店が浸透しているといわれるのが名古屋市。まんが喫茶も名古屋市を発祥とするという説が有力である。

ここでは東京の漫画喫茶に関する記事なので参考程度ですね。
時期や店舗を特定していないですし。


私が漫画喫茶のコンサルタント会社にいた頃、名古屋で有名だった漫画喫茶チェーン店で「ビードリーム」という店があったのを思い出して調べてみました。


マンガ喫茶ドリームチェーン本部

創業 1975年 マンガ喫茶のパイオニア
マンガ喫茶「ドリームチェーン」本部
株式会社 スクランブル


●マンガ喫茶開業のエピソード


当社は、古くからある「喫茶店に少々のコミック・雑誌を置いている」というスタイルを根本的な部分の考え方を改め、「コミックは1万冊、雑誌は150タイトル以上、それらの発売日には書店と同じように店内に陳列されている」というスタイルを25年前から確立している。
(中略)
このような全く新しいシステム(現在では、当然のことだが…)を考案するに
至るまで以下のような経緯があった。


ビジネスマンのお客様が多かったこともあり、先ずビジネスマン必読書といわれている書籍を大量に入荷したが、人気を博するほどのものではなかった。
次に雑誌を大量に入荷したところ、上々の人気があり、その成果は数字にも表れたが、満足はできなかった。
日夜考え続け、ふとした拍子に気付いたのである。コミックの存在に。
(中略)
“これしかない!!”と思い立ち、日々コミックを買い集め1万冊の在庫を持つのにそう時間はかからなかった。コミックは日が経つごとに増えていき、同時に客数も以前とは比べものにならないほど伸びた。が、一つだけ問題があった。
流行り過ぎたのである。当時(1975年)は、当然ながらマンガ喫茶は全国でその店1軒だけだった故に東海3県から噂を聞きつけたお客様が殺到したのである。
これでは、来店してくれたお客様すべてに満足してもらえないと判断し、よく利用していた駐車場を模して時間料金システムを設定した。
内容としては、過去に来店したお客様のデータを基に1時間30分というラインをまず設け、それ以上在店するお客様には以後10分ごとに30円加算されるというものだ。
現在のほとんどのマンガ喫茶がこの時間制料金システムを導入しているが、システムを考え、創り上げたのは当チェーンだということは言うまでもない。


ページの一番下に作成年が2001年だと書かれているので、そこから25年を逆算しても1976年であり、一番古い事になりますね。
私が特別に取材などを一切せず調べた限りではこうなりました。
実際に取材を試みればもっと詳しくわかるでしょうが……そこまでする気は今のところありません。


ちなみに、漫画喫茶ではなく複合カフェでは株式会社ランシステム自遊空間)が一番初めらしいです。
単に「インターネット・まんが喫茶を発明したのは私です。」という本を書いているからですが……本当なんでしょうかね。
著者である田中千一氏は漫画喫茶ではなく、複合カフェの第一人者であると言っています。
インターネットカフェではないはずです。
インターネットカフェの事は詳しく調べたことがないので、韓国のPC房が東京に出店したとか、インターネットカフェは日本では失敗したことぐらいしか知りません。
時間があれば調べてみたい内容ではあります。


このドリームチェーンよりも古い漫画喫茶はなければこの店が発祥ということになります。
但し、何をもって日本で最初の漫画喫茶とするのかという問題があります。
漫画がたくさん置いてある喫茶店であればいいのか、
それならば冊数は何冊であればいいのか。
漫画喫茶という名称を使い始めたのが一番最初であればいいのか。
時間料金制を導入したのが最初ならいいのか。


私としては、漫画喫茶という名称を使い始めたのが一番最初であればいいと思います。
漫画の冊数が他の漫画を置いている店と比べて圧倒的に多ければ(1000冊と1万冊の違いぐらいならば)漫画喫茶という名称を使っていなくても、最初の漫画喫茶と認定してもいいと思います