もし、漫画喫茶がなかったら……日本中にもっと中古コミックがあふれていたはずだ。

数年前、漫画喫茶のコンサルタント会社に勤めていた頃、


「このままでは日本中にある中古コミックがすべて無くなってしまう」


と、思っていました。
なぜそんな風に考えたのか、それは自分がいた会社だけで毎月、漫画喫茶を最低でも2件出店サポートしていました。
他にも、似たようなコンサルタント会社やフランチャイズは存在し、次々新しい漫画喫茶がオープンしていたのです。
1つの漫画喫茶ごとに2万冊のコミックが消費されるとするならば、10件で20万冊、100件で200万冊のコミックが古本市場から消えることになります。


漫画喫茶にコミックが納品されると必ず店舗印を押します。
この店舗印は中古コミックとしての価値をゼロにします。
ブックオフやゲオなどの新古書店では、この店舗印を押してあるコミックを買い取ることはありません。それは盗難にあったコミックの可能性があるから……ではなく店舗印を汚れとして判断するからです。マジックでの落書きと同じ意味として査定をし、買取不可という判断を下します。


つまり、漫画喫茶にコミックが納品されることは市場から消えてしまうのです。極端に言えば、ゴミとして処分すると同じだと、当時思っていました。


日本複合カフェ協会によれば、漫画喫茶、ネットカフェは加盟店舗だけで約1400店です。
1店2万冊とすれば、2800万冊のコミックが市場から消えたのです。
加盟していない漫画喫茶もかなりの数があるはずで、コミックの冊数も3万冊とか5万冊の店もあります。
実際に市場から消えているコミックの冊数はもっと多いことでしょう。


古本市場からコミックが消えてしまうことはありませんでしたが、数年前に比べて最終巻まで揃っているコミックがほとんど無くなったと感じます。
ネットオークションが普及して古本屋に売る量が減ったからだとも考えられますが、そればかりでもないでしょう。


漫画喫茶が原因で中古コミックが減ったというのは間違いないのです。