もし、漫画喫茶がなかったら……ブックオフの少年コミックが250円に値上がりすることはなかっただろう。

昔、ブックオフは少年コミックを200円で販売していました。
それがある時期から250円に値上がりしました。
実際の理由は定かではないのですが、理由の1つに漫画喫茶があると考えています。
直接的に漫画喫茶が原因というわけではなく、漫画喫茶のためにコミックを買い漁っていた人たちが原因なのです。


私が勤めていたコンサルタント会社も漫画喫茶用としてコミックを集めていました。
そのときよく利用していたのがブックオフでした。
普通の古本屋で全巻揃っているコミックを数千冊単位で買っていましたが、ブックオフなどの新古書店でも大量に仕入れていました。
ブックオフの店舗によっては「業者お断り」「お1人様1カゴまで」という張り紙をしていた店もありました。1人100冊までという店の場合は、こち亀やゴルゴ13を全巻買うことができないのだろうかと思いもしました。


業者お断りという気持ちはわからないでもありません。
業者は大量に買いますが、人気のある漫画や出たばかりのコミックだけしか買いません。
店としては売れるのはありがたいことですが、最新刊近辺の巻数や人気のあるコミックばかり根こそぎ買っていかれるのは困るのです。
棚に並べた瞬間全て買われてしまうと、普通のお客さんにとっては、いつ行っても良い本が置いていない店という印象しか与えません。
最悪、あの店の品揃えはよくないから行っても意味がないと思われて客足が遠のいてしまいます。


ブックオフで大量に余っているコミックはどこの古本屋でも処分に困っているコミックです。
そういうコミックは1冊あたり50円以下で仕入れることが可能だったのでブックオフでは買いません。
結果として、ブックオフでは誰もが欲しがるコミックを買うことになるのです。


ブックオフで買い漁るのは漫画喫茶関係の業者以外にも、ネットオークションで売るためにコミックを買うセドリ屋もいました。


どちらにとっても仕入れ値は安いほうが利幅は大きくなります。
少年コミックは新品が409円〜420円です。
中古コミックとして売る金額はこれよりも低く、仕入れ値よりも高くなります。
仕入れ値が200円の時、250円で売っていたはずです。
漫画喫茶の業者の場合は300円以上で卸していた場合がほとんどでしょう。
ネットオークションの場合は値段を高く設定すると売れなくります。送料もあるので利益を出すためにはなるべく安く仕入れなければなりません。


勤めていた会社もそうでしたが、もしブックオフがなくなったら非常に困るくらい依存していました。
それはブックオフ側も承知していたはずです。
だから、一番売れている少年コミックを250円に値上げしたのです。
これがもっとも効果的な戦略だと知っていたから。


たった50円ですが、この50円の大きさは実際にセドリをしていたり、漫画喫茶にコミックを卸していればかなりの痛手だったはずです。
販売金額や卸値を同じように50円値上げするのは、同業者との競争に負けることと同じことでしたから。


漫画喫茶用にコミックを集める業者がブックオフに嫌われたから250円に値上げされたのです。