たとえ来客数が増えることがわかっていても使わない禁断の魔法

まんが喫茶で働き始めた頃、店の本の並べ方が見た感じグチャグチャでした。
実際は整理されていたはずの本がお客の手によって違う棚へ返却されていたことが原因で滅茶苦茶になっていたのです。
それをきれいに並べ直したことが評価され、本の配置を好き勝手に変更する許可を得ることができました。


で、いわゆるヤンキー漫画のコーナーを作ったのです。
クローズ、ろくでなしブルース湘南爆走族BAD BOYSBAD BOYS グレアー、湘南純愛組、などなど400冊くらいのコーナーになりました。
結構いい感じの出来だったので、お客さんが読んでいてくれると嬉しかったのですが、3ヶ月くらいして異変が生じました。
客層がガラリと変わり、まあなんというか、そういうお兄さん達がたくさん来るようになったのです。
どうも、そういう方々はやっぱりそういう漫画がお好きなようで、そんな漫画がたくさんあるまんが喫茶として仲間うちで知名度がアップしたみたいでした。


お客さんが増えることは良いことなんですが、今までいたお客さんが来なくなってしまうというのは非常に不味いです。
それに、あそこは柄のよろしくないお兄さんがいっぱい来る店だという話が広まってしまうと、色々と都合も悪くなります。
なにより、働いていて応対に困る方の割合が多いんですね。中には普通のサラリーマンとかよりも言葉遣いが丁寧で、思いやりに満ちた方もいるのです。何でこんなに良い人なんだろう?と考えてしまうくらいです。
グループの中に一人でも良い人がいればいいんですがねえ。力関係とかもあるみたいで困ったグループとかもくるのです。


まあ、そんなことになったのでヤンキー漫画コーナーは取り潰すことになりました。
なくなってからは徐々に客層も元に戻り、そういうお兄さんもちょっとだけ来るようになった感じで終わりました。


だから、今でも店にある人気漫画のコーナーには絶対にヤンキー漫画を置くことはありません。
どんなに「ギャングキング」が人気でも、「ギャングキング」が個人的にどんなに好きな漫画であっても目立つ場所には置かないのです(涙)


ていうか逆にそういう漫画が店には結構あるんですよね。目立たないだけで……
たくさんあるのは趣味ではないですよ。