暇になると忘れられてしまうこと。


忙しい時、その状況を打破しようと試行錯誤します。
その結果新しいやり方や、効率のよいやり方を会得することが出来ます。
会得したやり方を忘れずに何度も続けていれば、いずれ以前は忙しく感じた状況も楽にこなせるようになります。


私が今のまんが喫茶で働き始めた時はそれなりに忙しい状態でした。
周囲に競合するまんが喫茶やネットカフェがほとんどなく、一人勝ちのような感じでした。
残念ながら今はもう、周囲に雨後の竹の子の様に同業店舗があふれています。
忙しかった時期はいつも大変で、たまに暇な日があると嬉しく感じたものです。
土日祝日などは戦場のような忙しさが終わりなく続いていました。


そんな状況ですから、全てのことが効率のよいやり方になっていて、無駄な動作をする隙がありませんでした。
1つでも無駄なことをやれば、それがすぐに自分を更に忙しくする原因になります。
料理の作り方にしても、基本は1人前ずつですが、同時に2人前、3人前を作るのは当たり前でした。
全く違うメニューを同時にいくつも作ることでさえ必須能力でした。


今はいなくなってしまった先輩達に鍛えられたおかげで、どんな状況でも対応できる能力を身に着けました。
プロの腕前を持つ料理人と一緒に働いていた事も勉強になりました。
今では料理人と呼べる人は1人もいなくなりました、私を含めて。


人間というものは忙しい状況があれば努力し力をつけますが、暇であると無理に努力しなくなります。
暇な状況になれてしまい、忙しい時にこなせた仕事量もできなくなってしまいます。
暇な状態を普通と感じ、普通の状況を忙しいと感じるようになります。
かつての忙しさと同じ状況になったら、なんでこんな忙しいのにシフトに入っている人数を増やしてくれないのかと文句を言うようになります。


効率のよいやり方を教えていますが、暇な状態ではそのやり方をしなくても何とかなってしまいます。
自分達でやり方を劣化させてしまい、それを次の世代へと教えていくことになるので、仕事のレベルが落ちていきます。
それを修正していくのは面倒なことです。
一度楽なやり方を覚えてしまうと、努力することを放棄します。
誰でも楽な仕事がいいに決まっていますから。