あえて入荷しない漫画たち


毎月たくさんのコミックが発売されるので、その中から厳選して店に入れるものを決めています。
まず、予算があるので入荷数には限界があります。
発売したコミックを全て入荷できればそれが一番いいと思いますが、それをやれる漫画喫茶はおそらくないでしょう。
正直なところ、採算を度外視してそんなことをやる店があれば繁盛するのではないかと思います。*1
そんな店があれば、本屋で気になった漫画を必ず読めるので常連になるかもしれません。


現実には発売されたコミックに中から予算に応じて選ぶので、どんなに入れたくても切り捨てるコミックがあります。
毎月、新規のタイトルをある程度入れるようにしていますが、既存のタイトルの続刊が多ければ諦めることがよくあります。
なるべくその後人気が出るような漫画は切り捨てないようにしています。
それでも、ドラマ化やアニメ化してから入荷することになってしまいます。


個人的に読みたい漫画を結構入れていますが、読みたくても入れていない漫画もあります。
どうしても読みたければ自分で買うので、それほど職権乱用しているわけでもありません。
それに、自分が苦手なジャンル以外で読みたいと思わない漫画は面白くないからだと思っています。
面白くなければお客さんも読まないでしょうし、巻数も続きません。
雑誌によっては人気のある漫画*2しかコミックを出さない場合があるので、自分が面白くないと思っていることが間違っている時もあります。


どんなに人気があるとわかっていても入れないコミックもあります。
例えば、アンソロジーコミックです。
うちの店では、「月姫」とか「Fate/stay night」や「君が主で執事が俺で」などの系統のコミックをあえて入れています。
オーナーに理由を聞かれた場合は「アニメ化しました」という魔法の呪文を使う予定です。
この手の作品は多くのアンソロジーコミックが出版されていますが、一切入荷していません。
店の客層が関係してくるのですが、この手のコミックを読むお客は全体の1割程度だと思います。
アンソロジーコミックの単価は高いので、費用対効果を考えて買わないことにしています。
新品では高いなら古本で買えばいいと考えてもみましたが、古本で出回るようになったら人気が下火になったか、無くなったということです。
人気のないコミックをあえて入れる必要はないので、古本で買う案は採用していません。


他には、成年コミックも入荷していません。
これを入れれば間違いなく読まれるでしょう。
お客の数も増えるかもしれません。
しかし、有害図書関連の条例などがあるので入れていません。
条例があるから入れないというわけではなく、あとで面倒なことが起きるのを未然に防ぐために入れていないのです。
実に消極的な態度だと自分でも思います。
別に条例で禁止されているわけではありません。
ちゃんと陳列方法を守れば置くことはできます。
2、3年前に数冊置いてあったときは頻繁に読まれていました。
オープン当初はその何倍もの冊数があったのですが、盗難にあって減ってしまいました。
それくらい需要はあります。
でも、今後も入れることはありません。

*1:ただ、地方では繁盛しないと思います。

*2:もしくは、採算の取れる漫画